起動停止回路に使用される自己保持回路について説明する。
機械の始動と停止には押しボタンスイッチが好んで使用される。押しボタンスイッチは、ボタン部分を指先(手)で押している時だけ接点が開(または閉)になるものが基本形である。ボタン部から指を離すと接点が元の状態に戻る。指を離しても機械が運転を続けるように自己保持回路を使用し、始動ボタンを押して運転状態、停止ボタンを押して停止させる。
図1のブロック図を回路図に展開すると図2になる。
この自己保持回路は、始動ボタンを押すとリレーコイルに電流が流れリレー接点(2)を閉じてモータを起動する。同時にリレー接点(1)も閉じるので押しボタンスイッチを離してもリレーコイルに電流が流れ続けてモータは回転を続ける。停止押しボタンを押すとリレーコイルに電流が流れなくなるのでリレー接点(2)が開きモータが停止する。またリレー接点(1)も開いているので停止ボタンを放してもリレーコイルには電流が流れずモータは停止している。
自己保持回路と安全性
図3にトグルスイッチとリレーを用いたシーケンス図を示し図2との比較をしてみる。なおトグルスイッチには各種のものがありその一例を図4に示す。図3のトグルスイッチは、モータ「運転」指令を機械的に保持し、トグルスイッチに機械的操作を行うことでモータ「停止」を実行する。この構成では、1つのトグルスイッチの故障(機械的故障、接点溶着など)によりモータを停止出来ないが、さらに停電や異常によりモータが停止した場合に復電時に自動的にモータが起動する重大な危険性がある。従って不用意な(再)起動を防止するためにモータなどの駆動制御には押しボタンスイッチと自己保持回路を採用すべきである。
なお広く使用されているPLC(シーケンサ)を使用する場合も同じ考え方を適用できる。PLCへの接点入力は、始動ボタンからはa接点、停止ボタンからはb接点を使用する。停止ボタンにa接点を使用し接点閉で停止させることは接点故障や断線などの故障時にモータを停止出来ないので行うべきではない。図5ではモータ用の電磁接触器(コンタクタ)を図中から省略してある。
(以上)