機械安全、電気安全と粉じん爆発は、意外にも密接な関連がある。それは、粉じんを生じる機械とその着火源となる電気の関係である。
(1) 粉じん爆発の発火条件
粉じん爆発は粉じんの燃焼に起因する爆発現象であるので、燃焼の3要素である
・ 可燃物
・ 酸素(支燃物、ここでは空気)
・ 着火源
の存在が必要である。
粉じん爆発における可燃物は粉じんである。粉じん爆発にいたる粉じんは、微粒子が燃焼するのであるから空気中に分散・浮遊する粉じん粒子群(dust claud、粉じん雲)一定の濃度である。燃焼が持続するために必要な温度を維持できる限界の粉じん雲濃度があるのは可燃性ガスの燃焼と同様である。すなわち爆発下限界濃度と爆発上限界濃度がある。
酸素濃度が多ければ燃焼は激しくなるし、酸素濃度が低ければ着火・燃焼、爆発が不可能になる。粉じんの種類によって異なり、純炭酸ガス内で発火するマグネシュームや3%酸素濃度のアルミニューム、C,H,Oを主成分とする有機物粉じんは13%~16%である。
着火源は多様である。粉じん爆発事故のあとに調査しても特定できない場合も多い。静電気が疑われる場合も多い。着火源については後ほど詳しく述べる。
(2) アルミ粒子
粉じんの定義は別の機会に譲るとして、ここでは粉じん爆発を生じるアルミニュームの粒子について述べる。
粒度メッシュ#200より大きい粉じん(74ミクロン)であれば粉じん爆発が生じなくなる。
浮遊粉じん着火温度: 645℃
最小着火エネルギ: 20mJ
爆発下限濃度: 35g/m3
限界酸素濃度: 3%
爆発しやすい粉じんとしてよく知られているマグネシュームと比較すると、発火温度(520℃)、最小着火エネルギー(80mJ)、爆発下限濃度(20g/m3)と危険性はほとんど差がない事に留意して頂きたい。
(3) 禁水性物質
(4) 着火源
下記の7つに分類する。
① 衝撃および摩擦
② 裸火および高温表面
③ 自然発熱および自然発火
④ 断熱圧縮
⑤ 電気火花
⑥ 熱線および光線
⑦ 静電気
アルミの粉じん爆発は、これら7分類のどれでも着火源となりうる。例を示そう。
①の摩擦は、工具の落下、材料中の異物の隔壁への衝突、換気扇の金属製翼がダクトやケースに接触する。圧送するときに流体が管壁に衝突して発熱する場合などがある。工具の落下による火花の発生を防止するために、鉄製の工具類の代わりにべリリウム銅合金製のハンマ・レンチ・スパナ・タガネ・ツルハシなどが防爆用工具類として市販されている。
②の裸火は、保全作業中の溶接トーチの火や作業用コンロの火が相当する。
以下 継続