科学技術と倫理の今日的課題(第2講)科学技術にかかわる倫理とは何か 2019-9
掲載誌:安全工学 2019 年 58 巻 4 号 pp. 257-264
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著者:杉本泰治、福田隆文、佐藤国仁、森山哲
アブストラクト:
倫理は古来,人間が大切にしてきた.科学技術が人間生活に及ぼす影響の重大性から,科学技術の場合 を,国民一般にわかるようにしたい.エンジニアの科学技術のものの見方は,そのまま法にも,倫理にも 通用する.まず,「倫理」と「モラル」の 2 語を選んで定義し,これで倫理について対話が可能になる. 伝統的な黄金律,十戒,五倫の共通モラルと,現代のエンジニアの倫理規程とを分析し,科学技術のモラ ル 10 原則を導く.アリストテレスほか,社会の指導層のエリートが説いた徳は,人格の完全性の指向 だった.現代,科学技術に携わる者に求められるのは,科学技術,法,倫理の三元的統合の完全性の指向 であり,実際に普通の技術者たちが,最善を尽くすなどの努力をして,高い品質や信頼性を実現してい る.科学技術という危険なものを安全に利用するには,それが必要なのだ.