科学技術と倫理の今日的課題(第3講)科学技術にかかわる個人と組織の倫理
掲載誌:安全工学 2019 年 58 巻 5 号 pp. 358-366
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著者:杉本泰治、福田隆文、佐藤国仁、森山哲
アブストラクト:
業務執行の階層組織が,個人からなり,すべての個人の「個人の動機」が大切であることを表現するモ デルを,仮説として提示する.このモデルを,チャレンジャー号事故に適用すると,サイオコール社の上 級副社長はじめ各個人が,それぞれの位置において重要な役割を担っていたことがわかる.コロンビア号 事故をも通じて,組織に配置され,特定の職務を担う専門職個人の重要性が理解される.シャトル計画の 「リスクは高く,安全は剃刀の刃ほどに薄い」目標は,階層組織のすべての個人の「個人の動機」が,組 織として一つに統合されることによって達成される.そこに,「組織内」の個人の役割,官(NASA)と 民(事業者)の「組織間」の関係,さらに,より大きな,国の規模の関係があり,組織のなかの個人の注 意を妨げ,事故を引き起こす要因がかかわる.
組織と個人, 専門職, チャレンジャー号事故, コロンビア号事故, 官民関係