8.人間の大脳心理学的な考え
人間の生理学的活動と作業者のエラー発生との関連を考えれば分かり易くなります。作業する時に適度の緊張状態が望ましいことは良く知られています。ストレス負荷が高すぎますと人はエラーを起こしやすくなりますし、ゆったりしすぎていてもエラーが発生しやすくなります。
人間の脳の働きを脳波のパターンをもとに5段階に分けて意識レベル(フェーズ理論ともいう)として示したものが下表です。エラーを起こさないためには作業者が常にフェーズIIIの状態にいることが望ましいことが分かります。フェーズIIIは、短時間しか継続できないので、実際にはフェーズIIで作業している時間が多いと考えられます。緊張や興奮状態では、フェーズIVとなりエラーが増えます。そこで、作業中でも危険を予知するとフェーズIIからフェーズIIIに気持ちを切り替える訓練と、フェーズIIでもエラーの発生が少なくなるような操作機器の色分けや配置など人間工学的対策が必要です。
人間はおおむね24時間の周期で変動する生理的現象があります。これを概日リズム(がいじつリズム)、サーカディアン・リズムといいます。また人の大脳の活動レベルと意識レベルもこの24時間のリズムを繰り返しています。