食品機械の電気安全設計に関する調査研究報告書、2007
森山哲 |
食品機械の電気安全設計対応に関する調査報告書 平成18年度 電気・制御安全編 国際安全規格利用手引き |
(社)日本食品機械工業会 (社)日本機械工業連合 |
2007 |
電気安全、機械安全、電装盤 |
本書は百種類を超える国際安全規格を利用するための「手引き書」となっている。 第2章 機械の安全と電気 電気への依存度が大きいだけに電気の取り扱いや不具合(障害)によっては働く人への災害になる。電気が人体に流れて起こる感電災害、電気が漏電して火災、制御機器不具合による事故、電気火花が周囲の引火性ガスや粉塵に着火する爆発災害、電磁ノイズによる電子機器の誤動作、静電気による事故や自然現象である雷による事故、のように電気が直接関係する災害は多い。本章では機械における電気と安全との関わりについて記載する。 第3章 制御系の安全関連部の設計 本章は、リミットスイッチを用いたガードインターロック、及びセンサなどの検出機器、等の安全コンポーネントを用いる安全方策の設計プロセスで明確にすべき事項について記す。 安全コンポーネントを用いたリスク低減方策は多数有り、それぞれ特徴がある。この特徴により、用いる場面や用途を誤ると、機器が備える安全性が十分発揮できないばかりか、新たな危険源を生み出すことにもなる。安全関連システムに関わる安全方策の設計を行う技術者は、本章を十分理解し、適切な“安全コンポーネントの選択”、及び“抽出した安全情報の利用法”について考えなければならない。 機械類(machinery)とは、“連結された部品又は構成品の組合せで、そのうちの少なくとも一つは適切な機械アクチュエータ、制御及び動力回路を備えて動くものであって、特に材料の加工、処理、移動及びこん(梱)包といった特定の用途に合うように結合されたもの(国際規格ISO 12100-1、3.1)として取り扱う。また3章の記述を参考にした主な国際規格はISO 13849-1:2006である。 第4章 電気設備への要求事項 機械の電気制御部について多くの国際規格があり安全に関わることが分散して記述されているので設計者は混乱しやすい。国際規格が要求する事項をすべてまとめることは出来ないが、規格が要求することの背景を幾つかの切り口でまとめて解説することを試みた。 本章は第5章で述べるIEC 60204-1:2005の要求事項を理解するにも有効である。また4.5 「停止のカテゴリ」、4.6 「インタロック装置」は機械系の設計者にも一読を勧める内容となっている。 第5章 電気装置一般仕様書 本章は、電気制御部の設計実務に役立つ国際規格IEC 60204-1:2005を解説する。機械の電装に関連する規格は多数あるがその中でもIEC 60204-1は全般的に詳細に記述されており、電装盤の仕様書としても活用できる。本章では電装盤を設計するときに参考となる情報も記述した。規格と本章を併せて活用することにより、規格の一層適切な利用に役立つと考える。本章を執筆時ではIEC 60204-1:2005に対応するJISは未発行であったため、JIS B 9960-1:1999はIEC 60204-1:1997に対応している。また、本章は、機械の電気制御部について、「人及び財産の安全」「制御応答の一貫性」「保守の容易さ」を達成するための要求事項及び推奨事項についても記述した。 本章で取り上げたIEC 60204-1は、稼働時に手で運搬できない機械の電気制御部に適用される規格である。規格の範囲は、機械装置の電気接続点、例えば建屋の分電盤、からとなる。規格は、公称電源電圧が交流1000 V以下、直流1500 V以下及び公称周波数が200 Hz以下で動作する電気設備に適用される。建物の電気設備に関する規格はIEC 60364(JIS C 60364)を参照する必要がある。また、ガードや保護装置などに対する要求は、個別の国際規格(対応JIS規格)を参照しなければならない。 第6章 安全性確保技術 機械が性能を発揮するためには電気エネルギと電気制御部が不可欠であることを前章にて述べた。 本章では電気、制御、安全を支える個別の技術を安全の切り口にて示す。主に解説する技術は、安全情報抽出の原理、安全確認型、単調論理、冗長性と多重化、ダイバシティ(多重構造)、ダイナミック処理、安全関連部と非安全関連部の独立性、フェールセーフ化が推奨される回路、フェールセーフ化の一般的方法、オフ確認、起動と停止及び再起動防止、ノーマルクローズ型、強制引き離し(強制開離)、相反モードによる監視の利用、発振回路の利用、交流信号の利用、電源枠外処理、フェールセーフなチェック回路、二重化不一致検出、バックチェック、非溶着、非対称誤り特性、操作電池と接地、自己保持回路、起動と停止、両手操作制御、偶発的操作、無効化防止、等である。 7.附属書 |
目次 1. 事業の概要 2. 機械の安全と電気 3. 制御系の安全関連部の設計 4. 電気設備への要求事項 5. 電気装置一般仕様書 6. 安全性確保技術 附属書 |
1) 安全基礎工学ノート 蓬原 弘一 長岡技術科学大学 2) 安全関連基礎用語集 蓬原 弘一 安全技術応用研究会 3) 国際規格対応 安全な機械の設計、A.ノイドルファ、訳:田中 紘一、安全工学研究所 4) ISO 12100-1、-2:2003 機械類の安全性-設計のための基本概念、一般原則 その他間連規格、ISO 5) ISO 14121:1999 機器類の安全性-リスクアセスメントの原則、ISO 6) ISO 13849-1:1999 機械の安全性-制御装置の安全性関連部品-第1 部:設計のための一般原則、ISO 7) ISO 13849-1:2006 機械の安全性-制御装置の安全性関連部品-第1 部:設計の一般原則、ISO 8) IEC 60204-1:2005 機械の安全性-機械の電気機器-第1 部:一般要求事項、IEC 9) その他 タイプB 機械安全国際規格(ISO/IEC) ISO/IEC、 10) JIS B 9650 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準、日本規格協会 11) PD 5304:2000 機械の安全使用 BSI 12) 工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドラインの策定について、厚生労働省 13) 機械の包括的な安全基準に関する指針 厚生労働省 14) 労働法全書 厚生労働省 労務行政研究所 15) 食品機械のリスクアセスメント実施マニュアル、(社)日本食品機械工業会、(社)日本食品機械工業会 16) 食品機械の取扱説明書作成ガイドライン、 (社)日本食品機械工業会(社)。日本食品機械工業会 17) 国際安全規格利用手引き 機械安全編、(社)日本機械工業連合会、(社)日本食品機械工業会 |